2013年10月27日日曜日

口福の季(とき)

『釣瓶落とし』の言葉どおり、あっという間に日が暮れてしまう。
夏至の時分にはまだ外にいた時刻に、すっかり短くなった一日を惜しみつつ酒器を傾ける夕べである。
 
         

里に秋更ける時期でもある。
今年の我が家の柿の生りはあまり良くないが例年なら柿の赤い実りが遠くから鮮やかに見える。まもなく始まる紅葉や菊の花の黄色などとあわせ『目の福の季(とき)』とも言える。

そして食いしん坊の我が身からすると口福の季でもある。栗から始まり新米・キノコ・さつまいも・新そば・・・・などなど。秋の味覚に溢れかえっている。
毎度のことだが、この豊かな恵みを育む豊饒なる大地には感謝である。
 
         

小さなころに覚えた味覚がいまも我が精神を支配している。
茹でたサトイモに味噌を塗り串に刺し、当時まだ現役で使っていた囲炉裏で焼いたあの味は、亡き父母の記憶とともに脳裏に深く刻まれている。
心をほんわかと温めてくれる、我がソウル(soul)フードのひとつだ。

炙るのは囲炉裏の火ではないが、掘り上げたサトイモであの記憶の味を明日にでも作ってみようかと思う。

こんな感じの食べ物だ。
味噌の焼ける香りがたまらなかった。
画像は『ぐるたび』-栃木県より。那須元気プロモーション協議会提供の画像

2013年10月18日金曜日

次はフランシスコがやってくる。

台風27号・フランシスコが台風26号ウイリーと同じようなコースを辿りそうだと言う。
なので続けて台風話題になる。

                                            

ウィリーは伊豆大島に甚大な被害をもたらし、去っていった。
『特別警報』が発令されなかった・・云々が議論されているが、自然相手でありそこには自ずと人間が対処できる限界と言うものもあろう。
むしろ、災害発生の危機に関してある程度の情報は得られているのだから、普段からリスク管理を心がけ対処方法を想定しておけば冷静な行動がとれるのではないかと思う。
こと台風に関しては多くの正確な情報が得られる。それをどう理解し判断して、行動に移すかだ。過去の経験を踏まえてトータル的な判断と行動になる。
だが、いざ危機が迫った際の行動は動物としての『本能』の域なのかもしれない。
地震や津波もそうだが、有史以来頻繁に繰り返される我が国の自然災害だ。
これらはないに越した事はないのだが、ほぼ間違いなく発生するのであるから、発生を大前提とし、かつまた防ぎようがないことを念頭におき、社会の構成を組み立てて行く事だろう。
便利さや快適性・効率追求型の社会インフラ整備にはどこか限界があるような気がしてならない。
本能を知らず知らずの内に退化させる悪弊がある。
『天災は忘れた頃にやってくる』だ。

                                             

ニュースや気象情報などで『台風は温帯低気圧に変わりました』と言うのを聞いた事はあるだろう。
(良くは知らないのだが)勢力が弱まって普通の低気圧に近いレベルまでになったのか・・・とホッとしながら思うひとが大半だろう。小生もそのひとりだ。そんな台風やら熱帯低気圧の厳密な定義まではさして興味はない。知らぬとて生活に影響もない。

だが、立て続けに迫り来る台風と言うこの機会に、(ブログ更新のためもあったのだが)調べてみた。

その説明が『台風(熱帯低気圧)の定義とその一生』に詳しい。

単純に、勢力が弱まって温帯低気圧、ではないようだ。
「台風は温帯低気圧に変わりました」という表現は、実は台風の強弱の変化を指す場合ではなく、台風の構造の変化を指す場合に使う表現
とある。
どうりで、北海道・根室沖あたりに進んだ台風が温帯低気圧に変わっても、等圧線が密(=風も強い)で気圧も低いままなのだ。

                                             

27号、来週半ばには本土に接近する見込みであるようだ。
追い打ちを掛けるような無慈悲な被害が出ない事を祈りたい。
フランシスコ様、お願いだからそ〜っと去っていってくださいな。

2013年10月15日火曜日

台風26号はウィパー

台風26号が関東を直撃するコースで進んでいる。
なんでも『10年に一度』という強い勢力らしい。
日本は台風を番号で呼んでいるので、つまりは26個もの台風が発生していることになる。
9月にも台風が上陸し水害被害を出した記憶も新しいうちにまた台風、であり今年は発生が多いのではと多くの人が感じてしまうのではないかと思う。

一見多いように感じるが気象庁の統計(台風発生件数)を見ると、2001年からのここ13年間では特別多い訳ではないようだ。

リンクからご覧頂くと分かるが、1967年は39個、1971年は36個、1994年は36個と今年より10個以上多い年も確かにある。ただこれらが皆日本列島に接近した訳ではない。

気象庁のHPには、上陸数の統計資料もある。

これを見てもそんな特異な今年ではない。ちょっと意外な気がする。
(しかし、2004年は上陸10個と異様に多い。一方で2008年には全く上陸していない)


ところで、台風には個別の名前が付けられている
この26号はウィパー(Wipha タイで用いられる女性の名前)だ。25号はナーリー(Nari  韓国語での百合(ユリ))。
あるルールで決められ命名されるらしい。詳しくはこのリンクで。
   気象庁HP     台風の番号と名前
役立たないが、雑学として知っておいて良いかもしれない。

                                             

ここ茨城北部でも台風26号に伴う雨が夕刻から次第に強くなってきた。
わが家の庭で、まさにいま鮮やかに色付いている『ムラサキシキブ』が雨に打たれ揺れている。

台風が過ぎれば、またぐっと秋が深まるに違いない。

2013年10月13日日曜日

ビュー 70,000超え

知らぬ間に当ブログのビュー数が70,000を超えた。

常陸大宮市の人口が43,695人(2013/4/1現在)だから、既に常陸大宮市の全員が1.6回見た計算になる。
余談だが人口70,000人の市は全国1742市町村のうち404位の福岡県柳川市(70,108)、405位の長野県伊那市(70,051人)だ。 『全国の市区町村 人口・面積・人口密度ランキング』

このような一介の田舎人が綴る農事日記的駄文が、2年半程の間にこれだけの回数人の目に触れたと言う事。なんとも畏れ多い事だ。

綴る話題には事欠かない毎日だ。感動は至る所にあり、再発見の日々。
これからも続けて行きたいと、改めて思う。
サツマイモの収穫

サトイモの収穫

2013年10月11日金曜日

見えないものを想像するチカラ

稲の収穫が終わってホッとして、ここ数日ボーッとしてしまった(それも音がするくらいに)。

         

10月も中旬にさしかかり、時季はまさに秋たけなわである、と言いたいが今日も実に暑かった。三重県/亀山では32.7℃で東京でも30.2℃だったそうだ。立派な真夏日。水戸でも29.7℃。わが常陸大宮市でも28.0℃ときた。まだまだ真夏の趣きではないか。
これから収穫時期を迎える野菜や生育段階にある野菜に影響が出はしまいか、心配ではある。

         

閑話休題。同世代のある人と話をしていて、そのとおりと激しく頷いたこと。
たとえばある優れた技を持つ職人さんの仕事について、その方がどれほどの年月にわたる努力と研鑽を積み、苦労に苦労を重ねてその域に達したのか、いま淡々と仕事をしている姿を見ても、敬意を払えない人が増えているのではないか、ということ。
あたりまえ的に出来るようになったとしか思っていない人が(特に下の若い世代に)多い。

それは皆が毎日口にする食べ物についても同じで、生産者しかり、流通業者しかり、調理するひとしかりで、それぞれの人の苦労があるから、スーパやコンビニで食べたい時に食べたいものが容易に手に入る。そこにそのような形で並んでいるのが当たり前、と知らないうちに思い込んでしまっている。
いずれも、目の前の事象・現象だけを認識するにとどまって、その背景やらまで深〜く慮るチカラが無くなってきているよね、ちょっと人間としても薄っぺらいかもね・・という点で妙に話が合った。

我々世代まではかろうじて以前の姿を見聞きして知っている。またかつての学校教育のなかでも修身とは言わないまでも、道徳としてある程度は学んできた。
そこにそういったものに対する敬意がうまれる素地があったように思う。
だが、今の若い世代は物心ついたときから便利な時代であり、余計な事を考えなくて済む時代だ。
背景にある携わった人の苦労やら思いやらという『余計なもの・煩わしいもの』が自ずと見えなくなっている、見え難くなっている時代だ。
なんでも便利だと、深く考えると言う事もしなくて済む。この便利さの背後に潜む問題は長い目で見ると深刻な事態を引き起こすだろう。すでに兆候は出ているが。。

我が立場で言えば、『ご飯を残す』人はいかがなものかと思う。
昔の家庭では何処でも『ご飯を残す』ことは悪で親に叱られたものだったが。
これなども農家の数限りない苦労を(体験すればなおさらだが)知っていたら、到底残す=捨てるなど出来ないはずなのだが。

目に見えないものを想像するチカラ。これが人間としての深みやら厚みを増す源泉だと思う。

農業の場合は、さらに自然に対しての謙虚さも必要だ。
万物を支配する見えないチカラがあるからこそ豊かな恵みがある。
日本で言う、八百万の神であるかも知れないし、今年が式年遷宮だった伊勢神宮の天照大神(あまてらすおおみかみ=太陽を神格化した神)や豊宇気毘売神(とようけびめ=衣食住の守り神)のようなものであるかも知れない。あるいはアブラハムの宗教(ユダヤ・キリスト・イスラム)で言う『創造神』かもしれない。

自然と向き合う農業はなんとも奥が深い。そこが好きなのである。
常陸秋そばはもうしばらくすると収穫の時期となる
新ソバの恵みは神からの贈り物だ

2013年10月4日金曜日

再びのポポー

今日は、兼ねてよりポポーの実をご予約されていたK様がお見えになった。
昨日落ちたなかから2つほど選んでもらって、実際に木に付いている実もご覧いただいた。
さてさて、これを実際に食してみていかがな感想をお持ちになるか、伺ってみたいところだ。

我が家のポポーの木はまだ実が付いているので、あと数日間は落果が続く見込みだ。
ご希望あれば、この短いチャンスをお見逃し無く。

(金スマ・ひとり農業の地のポポーも似たような状況だろう。今年の稲刈りSPでまた再び紹介されるかもしれない。だがオンエアー時分には、すでに食せる実は無くなっている・・)
未完熟のうちに落ち
徐々に熟すようだ

2013年10月1日火曜日

やっと一息

うるち米のコシヒカリの稲刈りは先週までに終わっていたが、収穫時期が少し遅れるモチ米の稲刈りがまだ少しだけ残っていた。
本日、モチ米も刈り終えて2013年の稲の刈取り作業は全て終了した。
これで本当にやっと一息といったところだ。
隣はまだ刈取りされていない近所の農家の田んぼのモチ米。
手前が今日最後に刈り取ってオダ掛けした我が家のモチ米
周囲の農家の話でも、田んぼの水がなかなか引かないでいるため大型機械が使えない田んぼが多いようだ。
無理矢理やってはみたものの、稲はなぎ倒すは田んぼはグチャグチャにしてしまうは、で大変だったという話を聞く。
(余談だが、このようなときに使用する『グチャグチャ』という状態を、茨城弁では『ヨグヨグ』(グは非鼻濁音)という。けっして良ぐ良ぐ(良く良く)ではない。正反対である。へんなのである)
折角の機械を持っていても、今年のようなコンディションだと結局は手で刈り取る部分が多くなる。まあ毎年のことではないので仕方あるまいと、皆が諦観の境地でいるようだ。

我が家も、例年になくぬかるんだ田んぼで大変な思いをした。
こんな年ばかりではない、そう思いたい。

稲刈りに使ったバインダーの泥を落とし、感謝の気持ちで洗浄した。
今年は特にトラブルも無く無事最後まで機嫌良く働いてくれたので助かった。
また来年まで倉庫の中で永い眠りにつく。
この一台の省力化効果は抜群である
大事にメンテナンスすればまだしばらく使えるはずだ